最新研究で分かった“主観と実態のズレ” 自分の睡眠を誤解してる?
「自分は十分な時間眠っている」「眠れなくて悩んでいる」——その感覚、あてにならないかもしれません。最新研究で発覚した、睡眠誤認の実態を実際の研究メンバーがわかりやすく解説します。

「自分は十分な時間眠っている」「眠れなくて悩んでいる」——その感覚、あてにならないかもしれません。
筑波大学と株式会社S'UIMINが実施した研究により、睡眠の自己評価と客観的睡眠状態は乖離しやすいことが明らかになりました。本研究の成果は、2025年1月16日付で、The Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)誌に公開され、国際的に評価されています。
本記事では、この研究の内容をわかりやすく整理し、睡眠をより正しく理解し改善するためのヒントを紹介します。
在宅睡眠脳波測定データを用いた睡眠研究で示された3つの結果
本研究では、睡眠障害の治療を受けていない421人を対象に、複数夜の睡眠脳波と血中酸素の測定データを分析し、事前の質問票回答から得られた睡眠の自己評価と、客観的な睡眠の評価を比較しました。

結果として、自覚的な睡眠時間や睡眠の質は、医師の評価と乖離があることが判明します。
具体的に3つの観点にわけて解説しましょう。
観点1:「十分な時間眠っている」と答えたグループの45%が、実は睡眠不足の可能性
観点1は、質問票の個人回答で「十分に眠っている」と感じている人のうち45%が、実際には睡眠不足の可能性があることが明らかになりました。
具体的には計測された睡眠時間が短かったり、日中に眠気を感じていたり、休日に長時間の睡眠をとる傾向があったりしたのです。
また、睡眠不足が深刻な人ほど自身の睡眠時間を過大評価する傾向が強く、重度の睡眠不足者は実際より約23%も多く眠っていると認識していました。

観点2:「不眠がある」と答えたグループの66%は、客観的には問題なし
観点2は、質問票から「寝付けない」「目が覚めて眠れない」などの睡眠の不調を感じている方を対象とした分析で、そのうち66%は脳波測定などの客観的データでは睡眠状態に問題が確認されなかったのです。

質問票で利用した「アテネ不眠尺度」は、標準的な不眠尺度として活用される有名な設問で、点数が高いほど睡眠の不調を感じていることを表します。6点以上で「不眠症が疑われる」基準となります。
しかしグラフのとおり、アテネ不眠尺度の点数16-24のグループでも4割近くが、また11~15のグループでは5割以上が、睡眠脳波測定で「客観的な不眠」が認められないと評価されました。
不眠を訴える患者は一般的に、「眠れなかった」という感覚を客観的な睡眠状態よりも大きく感じやすいことが知られており、今回の研究でも本人の認識と睡眠脳波計測による医師評価は異なっていました。
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実際の例(40代の女性)のご紹介記事も合わせてご覧ください。
「眠れない」は気のせいだった! “睡眠誤認”の発見 〜睡眠衛生指導の事例6〜
観点3:「睡眠の質に満足」しているグループの40%が、無呼吸症候群の可能性
ケース3では、質問票の「睡眠の質」および「眠気」に関する回答によって対象者を4つのグループに分け、客観的な医師による判定で睡眠時無呼吸の症状が疑われた人の割合を分析しました。

上のグラフの通り、軽度の睡眠時無呼吸が疑われた人の割合は上記グラフの緑色で、中等症以上の睡眠時無呼吸が疑われた人の割合は赤色で示されています。
結果、「睡眠の質に満足している」と答えた人の約40%が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあることが分かりました。
また、日中の「眠気」に関する質問票の回答で分けた場合も、「眠気をほとんど感じていない」とされる人たちのやはり40%に、睡眠時無呼吸症候群の疑いが認められました。
そして、他のグループと比べてみると、睡眠時無呼吸症候群の疑いが認められる人の割合は、主観的に感じている「睡眠の質」や「眠気」にかかわらずほぼ同じ割合であることも分かりました。
睡眠時無呼吸症候群は気づかないうちに進行し、放置すると生活習慣病や心血管疾患のリスクを高める可能性がある睡眠疾患です。疾患を見逃さないためには、ご本人評価に関係なく、客観的な測定で睡眠状態を把握することが重要です。
疑問:睡眠に対する自覚が当てにならないなら、どうすれば良いのか?
睡眠の状態は人それぞれですが、「眠れない」「睡眠の質が気になる」と感じるなら、まずは検査を受けることが大切です。
自分では問題ないと思っていても、実際には睡眠不足や無呼吸症候群のリスクが隠れている可能性があります。客観的なデータをもとに、睡眠の質を正しく把握することが大切です。
不安があるなら、睡眠検査が安心。
睡眠の自己評価は不正確、客観的データで見極めよう!
日常的な長期モニタリングには、スマートウォッチや睡眠アプリの活用も一つの手段です。
しかし、「不眠かもしれない」と不安を感じている方や、家族やパートナーから睡眠について指摘を受けたことがある方は、より精度の高い脳波計測を試してみることをおすすめします。
睡眠について心配がない方でも、問題を抱えている場合があるので、定期的に睡眠検査をしておくと安心です。
客観的には健やかに眠れているという事実が確認できて安心できるかもしれませんし、逆に自分では気づいていなかった睡眠の問題点を把握し、早期に適切な対策をとるための気づきが得られるかもしれません。
S’UIMINが提供する「InSomnograf(インソムノグラフ)」なら、自宅で簡単に本格的な睡眠脳波を測定できます。
(一部のプランでは血中酸素濃度の測定が含まれない場合があるため、必要な機能を事前に確認し、ご利用ください。)
文責:谷 明洋 (S'UIMIN 睡眠ウェルネスアドバイザー)
監修:柳沢 正史(S'UIMIN 取締役会長 / 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長)

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