1〜2時間おきに目が覚めるのは「レム睡眠時の無呼吸」かも ~睡眠脳波計測の事例より~

「夜中に1〜2時間おきに目が覚める」という場合には、レム睡眠時の無呼吸が隠れているかもしれません。S'UIMINが蓄積した脳波計測の知見から、自覚しにくい「レム関連睡眠時無呼吸」の実態と健康リスク、具体的な解決策を整理します。

「眠ってから2時間後くらいに決まって目が覚める」ことや、「だいたい1時間おきに何度も繰り返し目が覚める」ことに、心当たりはないでしょうか?

このような場合には、単に「眠りが浅い」のではなく、「レム睡眠に伴う睡眠時無呼吸」のような睡眠のサイクルに連動した問題が隠れている可能性があります。

なぜ1〜2時間おきに目が覚めてしまうのか、その科学的なメカニズムを、株式会社S'UIMINの睡眠計測データをもとに解説します。

1~2時間おきに無呼吸になる理由は?

50代の男性による、こちらの睡眠計測結果をご覧ください。

上段は脳波測定による睡眠経過を、下段は指輪型のデバイスで同時測定した血中酸素ウェルネスを表しています。

睡眠脳波と血中酸素ウェルネスの同時計測例:1.5時間おきのレム睡眠周期に一致して発生する中途覚醒と無呼吸イベント

上段が睡眠状態、下段が血中酸素ウェルネスを表します

注目したいのは2時過ぎと4時前、さらに5時頃、6時過ぎ(分かりやすいようにピンクの色をつけてあります)。

だいたい1時間半おきに、覚醒(WK)を何度か繰り返しています。

そしてよく見ると、それは赤線のレム睡眠(REM)のタイミングと重なっています。

さらに下段のグラフでは、同じタイミングで血中酸素ウェルネスが低下していることが分かります。

ここから、次のような可能性を考えることができます。

  • レム睡眠になると、呼吸が弱くなったり止まったりして、息苦しくなって目が覚める

レム睡眠で筋肉が弛緩し、呼吸に異常が生じやすい

実は、レム睡眠には「全身の骨格筋が弛緩する」という特徴があります。

すると、喉や舌の周辺の筋肉も緩みがちとなり、気道がふさがるため、呼吸が止まったり弱くなったりしやすいのです。

そして、レム睡眠は通常、1~2時間ごとに現れます。

さらに「普段から1~2時間おきに目が覚める」という本人の訴えを踏まえると、

  • 普段の睡眠でも、1~2時間おきにやってくるレム睡眠のタイミングで、呼吸が弱くなったり止まったりして、息苦しくなって目が覚める

という可能性が浮かび上がってくるのです。

気付きにくく、見つけにくい呼吸の異常

S'UIMINの睡眠計測においても、レム睡眠のタイミングに伴う血中酸素ウェルネスの低下は、睡眠時無呼吸症候群の罹患率が高まる中高年で特に顕著に見られるパターンです。

すべてのデータを統計的に精査したものではありませんが、計測結果の分析や被験者へのフィードバックを整理していると、血中酸素ウェルネスの低下が認められる測定結果の少なくとも半数以上がこのパターンに該当します。

レム睡眠のタイミングで血中酸素ウェルネスの低下が著しい別の計測事例

このような睡眠は、睡眠医科学においても「レム関連睡眠時無呼吸症候群」として知られています。

睡眠時無呼吸症候群は、「夜中に何度も目が覚める」という形で睡眠に影響することや、全く気付かないまま睡眠の質を大幅に悪化させることがあり、翌日の眠気等につながります。

また、睡眠中に酸欠状態になるため、循環器系にも大きな負担がかかり、心血管障害のリスクにも関連します。

目が覚めることに困っていないからと放置するのは、よくありません。

詳細な睡眠計測で確かめよう

ただ、夜中に目が覚めてしまう要因はほかにも、飲酒、カフェイン、心配ごと、寝室環境などがあり、絶対的に睡眠時無呼吸症候群であるとは言い難い点もあります。

そこで、睡眠と血中酸素ウェルネスを同時に計測するサービスを活用してみてはいかがでしょうか。

S'UIMINの睡眠検査は、睡眠と血中酸素ウェルネスの状態を詳しく調べ、目が覚めたタイミングの血中酸素ウェルネスの状態や、血中酸素ウェルネスが低下した時の睡眠への影響などを確認することができます(血中酸素ウェルネスの測定がないプランもありますので、事前によく確認してお申し込みください)。

血中酸素ウェルネス3%低下指数(1時間当たりの回数)から、睡眠中の呼吸に異常がある可能性をスクリーニングする材料とすることもできるでしょう。

血中酸素ウェルネス3%低下指数

呼吸の異常の可能性(目安)

5未満

正常

5~15

軽度~中程度

15以上

中程度以上

なお、S'UIMINの睡眠検査は、診断をはじめとする医療行為を意図したものではありません。睡眠時無呼吸症候群の不安や心配があれば早めに医療機関への相談等を検討してください。

参考文献・出典

Pevernagie, D. A., et al. (2024). REM sleep obstructive sleep apnoea. European Respiratory Review, 33(171), 230166. (REM睡眠では筋弛緩により上気道が閉塞しやすく、呼吸イベントが長く、酸素低下も強くなりやすいことを整理した総説)

Conwell, W., Patel, B., Doeing, D., et al. (2012). Prevalence, clinical features, and CPAP adherence in REM-related sleep-disordered breathing: a cross-sectional analysis of a large clinical population. Sleep and Breathing, 16(2), 519–526. (REM関連睡眠呼吸障害の頻度や臨床的特徴、CPAP使用状況を検討した研究)

Park, G. H., et al. (2023). The relationship between sleep quality, daytime sleepiness, and rapid eye movement obstructive sleep apnea (REM-OSA). Sleep and Breathing, 27, 737–743. (REM-OSAが睡眠の質低下や日中の眠気増加に関連しうることを示した研究)

Kasai, T., et al. (2024). JCS 2023 Guideline on Diagnosis and Treatment of Sleep Disordered Breathing in Cardiovascular Disease. Circulation Journal. (睡眠呼吸障害と循環器疾患リスクに関する日本のガイドライン)

関連動画:「1~2時間おきに目が覚める」の意外な要因 睡眠ケーススタディ #2(S'UIMIN公式チャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=FNx4qmIZY_o&t=8s

文責:谷 明洋 (S'UIMIN 睡眠ウェルネスアドバイザー / 元日本科学未来館 科学コミュニケーター)
監修:柳沢 正史(S'UIMIN 取締役会長 / 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長)

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