既存の睡眠時無呼吸症候群の検査(パルスオキシメーター、簡易PSG等)と、S'UIMINの睡眠計測の内容の比較
S'UIMINのInSomnografは、「血中酸素ウェルネス」と「睡眠脳波」を同時に計測することにより、既存の睡眠時無呼吸症候群の簡易検査とは異なるさまざまな価値を提供します。

この記事では、S'UIMINの睡眠計測サービス「InSomnograf」の特徴を、既存の睡眠時無呼吸症候群の簡易検査と比較して整理します。
本サービスの導入検討や、検査の使い分けにお役立てください。
睡眠計測サービス「InSomnograf」の特徴
S'UIMINの睡眠計測サービス(以下:本サービス)は、「睡眠」と「血中酸素」の状態を同時に計測するとともに、睡眠に関するアンケート回答を取得します。
特に、睡眠脳波測定によって詳細な睡眠状態を把握することは、本サービスの大きな特徴のひとつで、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に特化した既存の簡易検査(※)には類するものがありません。
※本記事での「簡易検査」は、簡易睡眠時呼吸検知装置(簡易PSG、アプノモニター)による検査と、パルスオキシメーターによるスクリーニング検査を意図しています。
以下に、既存簡易検査と比較したときの、本サービスのメリットとデメリットを整理します。
(補足●)については、記事の末尾にて補足します。
「睡眠への影響」を踏まえたSASリスクの評価
本サービスは、「睡眠」と「血中酸素」を同時に計測にするため、
SASリスクの重大性を、「睡眠状態への影響」を踏まえて評価できる(補足1)
SASスクリーニングの“見逃し”が減る(補足2)
といった、メリットを得ることができます。
睡眠の総合的な評価や、睡眠向上アドバイスを得られる
さらに、本サービスは、SASに限らない睡眠トラブルのリスク評価や、睡眠向上に向けたアドバイスを提供します。
このため、特に医療施設にとって、
SASの心配の有無にかかわらず、幅広い利用者に訴求できる
結果として、利用者が無自覚だったSASの検出機会となりやすい(補足3)
という点は、既存のSAS簡易検査と異なる特徴として挙げられます。
また、多くの既存簡易検査のレポートがデータの羅列に留まるのに対し、本サービスのレポートは、睡眠に関する充実した情報に利用者向けの解説やアドバイスを加えて提供します。
このため、利用者にとっても
SASリスクの有無にかかわらず、睡眠向上につながる情報を得られる
というメリットがあります。
簡易検査より煩雑で、診断には活用できない
一方で、本サービスは5晩の睡眠脳波計測が基本となるため、
SAS特化の簡易検査と比べると煩雑で、価格面でも利用者の負担が大きい
という点がデメリットとして挙げられます。
また、本サービスは医療機器ではなく、SASの診断を意図していないため、
SASの顕著なリスクが認められても、保険治療に進むためには別の検査を要する
ことに留意する必要があります。
この点は、「パルスオキシメーター」による簡易スクリーニングとは大差ありません(補足4)が、「簡易睡眠時呼吸検知装置」による検査と比較すると明確なデメリットとなります(補足5)。
既存の簡易検査との使い分け
本サービスはこのように、SASの簡易検査と比較すると「利用者の負担が大きい」「保険治療への最短とならない可能性がある」というデメリットと、「SASも含め、睡眠に関するさまざまな情報を得られる」というメリットがあります。
本サービス向きの利用者
本サービスのメリットは、次のような利用者にとって価値があるものとなります。
SASが疑われるので、睡眠への影響等も把握して治療の是非や方針を検討したい
SASにかぎらない睡眠トラブルを網羅的にチェックしたい
よく眠れないように感じるが、要因が分からない(SASかもしれないが、そうでない可能性も考えられる)
日中の不調や眠気があるので、よく眠れているか、眠れていないなら原因は何かを調べたい
睡眠の質や、不眠の有無・程度を確かめたい
もっと良い睡眠をとるためにどうすればよいのかを知りたい
美容、ダイエットなどの特定の目的のために、睡眠の向上に取り組みたい
SAS簡易検査向きの利用者
逆に、次のような方には、SASに特化した簡易検査を利用するメリットの方が大きいと考えられます。
SASだけが心配である
できるだけ簡易的に安価にSASの可能性をチェックしたい
また、次のような方は、簡易検査の中でもSASの診断が可能な「簡易睡眠時呼吸検知装置」による検査が有力な選択肢となるでしょう(補足5)。
中等症以上のSASの可能性が高く、少しでも早く保険治療に進みたい
各検査の特性を、本サービスの導入や利用勧奨のご検討にお役立てください。
在宅向けのSAS簡易検査と睡眠計測サービスの内容比較

SASの検査から治療へのフロー

本サービスは「SASの心配」以外の利用動機が考えられ、SASのリスクが認められなくても「睡眠アドバイス」などの情報を得られる
補足
記事中で(補足●)と表記した点について補足します。
補足1, 睡眠状態を踏まえたSASリスクの評価
本サービスは、「血中酸素」の状態だけでなく、「睡眠」の悪化や「いびきの自覚」などを加味することにより、SASリスクを詳しく評価することができます。
たとえば、血中酸素に中程度の異常(具体的に「ODI3% = 10回程度」に相当)が確認された場合、睡眠状態への影響が顕著と考えられれば早急な検査を勧め、睡眠状態が比較的良好であれば注意を促したうえで経過観察を提案します。
多面的な情報を、その後の検査や治療の方針の検討に役立てられるサービスです。

SASが疑われる計測結果の例。血中酸素濃度(下段:パルスオキシメーターで測定)の低下が激しい時間帯は、睡眠状態(上段)もごく短時間の覚醒を繰り返すなど不安定になっている。※事例のひとつであり、SASが疑われる計測結果にはさまざまなパターンがあります。
補足2, SAS”見逃し”の要因と本サービスの利点
睡眠状態を十分に把握できない既存の簡易検査は、「血中酸素濃度が低下しないタイプの患者(痩せ型の方に多い)を把握できない」という指摘があり、パルスオキシメーターによるスクリーニングでは20〜30%程度の“見逃し”が出るという報告もあります。
また、「測定中に長い中途覚醒があった場合、血中酸素濃度の低下頻度が過小評価となる」といった問題も指摘されています。
本サービスは、血中酸素と同時に計測した睡眠の状態を踏まえたリスク評価によって1つ目の問題を、睡眠計測によって把握した中途覚醒の時間を解析時間から除外することによって2つ目の問題を、それぞれ解決しています。
補足3, 自覚していないSAS
SASは自覚できないまま深刻化しているケースも珍しくありません。
2021年秋に都内の施設を通じて実施した、100人のモニターを対象とした睡眠計測サービスでは、事前のアンケートで「睡眠時無呼吸が心配」としなかった76人から、21人にSASリスクが認められました(有リスク率=27%)。
「睡眠時無呼吸が心配」を利用動機とした20人中の14人に比べて低確率ではあるものの、「心配していない人」にも一定の確率でSASが疑われたことになります。
SASに特化した簡易検査は、SASへの心配や懸念が無ければ利用しにくいものですが、本サービスはSASを心配していない型にも訴求できるため、自覚していないSASを検出する有効なツールとなります。

2021年秋に特定施設で実施したモニターサービス利用者の受診動機(複数回答)
補足4, パルスオキシメーターによる検査結果の扱い
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」には、「AHIには、簡易モニターで算出されたODIも含まれる」という記述があり、パルスオキシメーターの検査結果をもとにCPAP治療を保険適応することは可能とも考えられます。
ただし、パルスオキシメーター単独での診断は、同ガイドラインでも「感度・特異度ともに低い」として推奨されておらず、一般的とは言えません。
補足5, 診断可否に関するデメリットの評価
「簡易睡眠時呼吸検知装置」による検査は、SASの診断指標であるAHI(1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数)を算出することができ、SASの診断が可能です。
この点に加え、顕著な所見(40 ≦ AHI)が認めらた際にCPAP治療(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)の保険治療に進める点は、本サービスに対する明確な優位性となります。
ただし、CPAPの保険治療を前提とした場合、「簡易睡眠時呼吸検知装置」による検査をおこなっても上記のような顕著な所見が認められなければ、より精密なPSG検査を追加実施する必要が生じ、検査フロー上の本サービスと比較した優位性は小さくなると考えられます。

簡易睡眠時呼吸検知装置は、「40 ≦ AHI」という顕著な所見が出ればCPAPの保険治療に進めますが、「40 > AHI」でCPAPの保険治療を希望する場合はPSG検査が必要となります
参考リンク
睡眠時無呼吸症候群患者のスクリーニング検査としてのパルスオキシメトリーの限界
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020

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