寝る前のスマホはホントにNG? 睡眠への影響と上手な使い方
寝る前のスマホも、使い方次第では良い睡眠の助けになることがあります。スマホとの上手な付き合い方を、睡眠視点で「光の影響」と「情報の影響」「時間の影響」に分けて整理します。

睡眠の相談では、寝る前のスマートフォンの使用について多くの質問をいただきます。
▼スマホに関するよくある質問
寝る前のスマホは良くないと分かっているけどやめられない
現代社会でスマホをやめるのは無理なのでもっと現実的なアドバイスが欲しい
本当にスマホって良くないの?
スマホの明るさや色を変えるのって有効?
確かに、光には脳を覚醒させる作用があり、スマホの画面が発する光も例外ではありません。しかしスマホは使い方次第で、よい睡眠を助けるツールにもなり得るのです。
そこで今回の記事では、寝る前のスマホが睡眠に与える影響について解説していきます。寝る前にスマホを使っても眠れるようになった事例や、スマホを上手に使うコツも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
寝る前のスマホが睡眠にもたらす3つの影響
寝る前のスマホが睡眠にもたらす影響は、次の3つに分けて考えることができます。
光による影響
コンテンツ・情報による影響
時間を使う影響
この3点について、詳しく見ていきましょう。
1:光は覚醒を促すが、工夫すれば影響は抑えられる
目から入ってくる光には睡眠への悪影響があり、スマホの画面が発する光も例外ではありません。
もう少し詳しく整理すれば、光による睡眠への影響は、①脳が覚醒する、②メラトニンの分泌が抑制される、③夕方以降の光で体内時計が後ろ倒しになるーーの3つの生理的な反応を経てもたらされ、いずれも波長の短い「ブルーライト」によるものです。
ただ、スマホは画面がそれほど大きくなく、ナイトモードで光量を落としたり、ブルーライトを抑えたりすることもできます。スマホの光の影響よりもむしろ、夜間のコンビニやドラッグストアの照明、あるいはリビングや寝室の明るい照明の影響の方が強いこともあるでしょう。
スマホの光による睡眠への影響はゼロにはできないものの、明るくなり過ぎないように光量に注意すれば、それほど大きくはならないと考えられるのです。
2:コンテンツ・情報による脳への刺激に注意
むしろ注意が必要なのは、スマホで閲覧するコンテンツや情報による刺激です。閲覧する内容や使い方次第で、睡眠に良い影響を与える可能性も、悪い影響を与える可能性もあるからです。
総じて言えば、感情の動きや思考を促すような使い方は睡眠を阻害する要因となり、逆に、気持ちがリラックスできたり落ち着いたりする使い方であれば、睡眠の助けになることが考えられます。
たとえば、脳が仕事モードに切り替わってしまうような業務連絡の確認や、投稿後の反応を期待してしまうSNS、不安や心配ごとにつながったり思考が促されたりするニュース情報、次から次へと新たなものを見たくなるショート動画や情報検索などは、睡眠に悪影響を及ぼす心配があります。興奮やスリル、強い快感等が伴う楽しさは、リラックスして心が安らぐような楽しさとは別物だと考えましょう。
LINEなどのコミュニケーションツールも、仲の良い友人と次から次へと話題を変えながら夢中になってチャットを続ければ、楽しくなって脳が覚醒し、眠気が覚めてしまうことが考えられます。ただ、たとえば離れて暮らす家族と、毎晩の決まった時間に5分程度のやりとりで「おやすみ」と伝え合うくらいであれば、心が安らぐ入眠儀式として機能することも考えられるでしょう。
動画も内容によるでしょう。心が落ち着く動画をゆったりと眺めれば、リラックスにつながることも考えられます。これまでには実際に、「動物がじゃれ合っている動画」で癒されるという方や、「お笑いの動画」で嫌なことを忘れられるという方がいらっしゃいました。
要するにスマホは、使い方次第なのです。リラックスのために、どんなコンテンツが適しているかは人によって異なります。自分にとって「ほっこりする」「癒される」「ゆるい」「和む」「優しい気持ちになる」ようなコンテンツを探してみてください。
3:睡眠時間が削られないように注意
また、際限なくスマホを使い続けていると、睡眠のための時間が無くなってしまいます。
ショート動画や記事コンテンツを次から次へと際限なく見たり、ゲームに没頭したりするような使い方は、覚醒につながるだけでなく、終わりどころを見失いやすいため時間を浪費してしまいます。
仮に「リラックス」につながるような内容だとしても、スマホを見続けて睡眠不足に陥ってしまうようであれば本末転倒ですので注意しましょう。
心が落ち着く動画で安眠を取り戻した成功例
寝る前にスマホを上手に使って、実際に睡眠が改善した40代の男性の事例を紹介します。
before:心配症で寝付きが悪く、夜中に目が覚める…
この方は、寝付きが悪いことや夜中に目が覚めてしまうことに悩んでいました。もともと心配性のためか、布団に入ると心配事や考え事から不安が膨らんでしまい、眠れた後にもその心配事を思い出すように目が覚めてしまうというのです。
その方は、お笑いが好きで、好きな芸人さんの動画を見ると心配事を忘れて幸せな気持ちになれるとのこと。しかし、寝る前にお笑いの動画を見ると今度は、「スマホを見たことが原因で睡眠に悪影響を与えるのではないか」と罪悪感を覚え、結局は不安が膨らんで気持ちよく眠れないという悩みがありました。
after:「癒される動画ならスマホを見てもいい」のアドバイスで寝つきが改善した
そこでこの男性には、お気に入りの芸人さんの動画を1~2本、毎晩寝る前に見て、幸せな気持ちで布団に入ってもらうことにしました。
動画を見ることで不安を忘れられるなら、むしろ睡眠に良い影響があると考えられたからです。「お気に入りの芸人はだいたいワンパターンなので、安心して見ていられる」と言っていたので、楽しくなりすぎて覚醒してしまう心配も大きくありませんでした。
▼このケースでのスマホの使い方の例
まずは部屋を暗くして、スマホの光量も抑える
寝る前にお気に入りの芸人さんのお笑い動画でリラックスする
癒されて幸せな気持ちになってから、動画をオフにして眠る
それを毎日の習慣にする
取り組みを始めてから1週間ほどで、この男性は実際にスムーズに眠れるようになり、睡眠への満足度も上がりました。
また、「スマホを見ても良い」と考えられるようになったことで、罪悪感や睡眠への恐怖感がなくなったとのことでした。

スマホは寝床から遠いところに置くのがおすすめ!
睡眠時のスマホ使用でもう一つ気を付けたいのは、夜中に目が覚めたときの対応です。
手が届くところにスマホがあると、つい時間を確認するために画面を見てしまいます。さらに通知が目に入って「メッセージを返信しなきゃ」と思い出したり、ニュースを見始めたり、他のコンテンツに手を伸ばしてしまうこともあるでしょう。
本来ならすぐに眠れたはずなのに、スマホを見てしまったことが原因で脳が覚醒し、中途覚醒が長引くことがあるのです。
もし「夜中に目が覚めて眠れない」「目が覚めたらスマホを見る」「時間を見るつもりが別のアプリを立ちあげてしまう」など心当たりがある場合は、夜中にスマホが目に入らないように工夫してみてください。
眠くなったらスマホを引き出しにしまうか、少し離れた場所に置きましょう。寝室以外の場所でスマホを使い、寝室にはスマホを持ち込まないのもおすすめの方法です。
寝る前のスマホが睡眠を助けるツールになり得る
スマホの影響を正しく理解すれば、睡眠の悪化を最小限に抑えたり、むしろ睡眠改善に役立てたりすることができます。もちろん、寝る前にスマホを使わなくても困らないならそれに越したことはありませんが、寝る前のスマホを頭ごなしに否定する必要もないでしょう。
大切なのは、光による影響を最小限に抑え、嫌なことを忘れたり、心を落ち付かせたりすることができるコンテンツを利用すること。LINE返信やSNSチェック、刺激的な動画や激しい音楽などの覚醒に向かうような使い方は避け、時間を浪費しないように注意しましょう。
また、眠る際にはスマホを寝床から離れた場所に置くことができれば、夜中に目が覚めた時の影響を抑えることにもつながります。
また、ご自身がぐっすり眠れているかどうかを知るために、脳波計測を活用するのもおすすめです。「脳波で睡眠計測 Web限定体験プラン」ならご自宅で簡単に睡眠状態を計測できるので、ご自身の睡眠状態や適切な改善方法を知るためにもぜひご活用ください。
文責:谷 明洋 (S'UIMIN 睡眠ウェルネスアドバイザー)
監修:柳沢 正史(S'UIMIN 取締役会長 / 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長)

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